4:薬剤の調整
おおよそ、投与量が1ml/h(24ml/day)以下になるように薬剤を調整する。
以下にシリンジポンプを用いた場合を紹介する。
1 モルヒネ
@ 経口薬や他剤から変更は、緩和ケアチームが発行している「オピオイド換算表」を参考にされたい
(各病棟に掲示して頂いている)持続皮下注と持続静注の投与量は同等と考えてよい。
A おおよその目安としては、経口モルヒネの1/2〜1/3量を投与するとよい。
B レスキューは、1日投与量の1/12〜1/24量(1〜2時間分)をボーラス投与するとよい。
初回レスキューは安全のため1/24(1時間分)から開始する。
効果不十分の場合は、1/12(2時間分)量にUp
C レスキュー間隔は10〜15分程度でOK。
レスキュー投与15分後に疼痛緩和が得られない場合は、追加レスキューを投与する。
D モルヒネの投与量を上げる場合や、モルヒネ初回投与時には、
嘔気対策としてセレネース0.5〜1Aを混合投与するとよい。
あの24時間経口量の1/2〜1/3量が基本。
E デュロテップMTパッチ→モルヒネ持続皮下注への変更は、過剰投与となる可能性があるので慎重に!
できれば換算表を参考に1/4〜1/2量/日ずつ変更して行くとよい。
【処方例】
例: | モルヒネ1A (10mg) |
1ml | |
セレネース1A (5mg) |
1ml | ||
生食 |
10ml | 計12ml 0.5ml/h投与 |
※疼痛時には、1mlのボーラス投与を行う 翌日あるいは薬剤がなくなった時点で、
前日投与量を24時間で投与出来るように調整する。
2 フェンタニル
@ モルヒネと同様に、レスキューは、1日投与量の1/12〜1/24量(1〜2時間分)をボーラス投与するとよい。
初回レスキューは安全のため1/24(1時間分)から開始する。
効果不十分の場合は、 1/12(2時間分)量にUp
@デュロテップパッチの経皮吸収が心もとない場合などに使用する。
A レスキュー間隔は10〜15分程度でOK。
レスキュー投与15分後に疼痛緩和が得られない場合は、追加レスキューを投与する。
B フェンタニル注射製剤は濃度が薄いので、皮下注にはむかない。
現実的には、原液1ml/hで50μg/hしか投与できない。
これは、デュロテップMTパッチ8.4mg、経口モルヒネ100〜120mg程度と同等量でしかない。
よって、投与量が多くなることを見越して、モルヒネ皮下注への変更を早期から念頭においておく必要がある。
【処方例】
例: | デュロテップMTパッチ |
8.4mg ( 放出量50μg/h ) を使用しているヒト | |
フェンタニル原液 6A |
1ml | ||
計12ml 1ml/hにて開始 |
※疼痛時は、0.5 1ml 早送り
3 ケタミン
@ 神経傷害性疼痛が疑われるが、ガバペンやトリプタノールなどの経口薬剤を内服できない場合に使用する。
A 開始量としては50mg/day 初回10〜20mgをShotしてもよい。
B 効果と見ながら2〜3日ごとに50〜100mgずつ増量
C 投与により悪夢や幻視が現れることがあるので、その対策として
Midazoram(ドルミカム)1〜2A/日程度を 併用するとよい。
ただし眠気に注意。
【処方例:投与開始時】
例: | ケタミン(10mg/ml) |
5ml | |
ドルミカム 1A |
2ml | ||
生理食塩水 |
5ml | 計12ml 0.5ml/h投与 |
4 スコポラミン:(ハイスコR 0.5mg/A)
@ 疝痛時に使用する
A 0.8mg〜2.4mg/day (2〜5A程度)
【処方例】
例: | モルヒネ20mg/day皮下注の患者が疝痛を訴えた場合 |
||
モルヒネ 2A |
2ml | ||
ハイスコ 3A(1.5mg) |
3ml | ||
セレネース1A |
1ml | ||
生理食塩水 |
6ml | 計12ml 0.5ml/h投与 |
※その他、多くの薬剤が皮下投与可能であるが、
総投与量(投与速度)が1ml/hを越える場合は、持続静注もしくはCV投与を考えるとよい。