緩和ケアチームとは

センター長挨拶

センター長

奈良県立医科大学附属病院 緩和ケアセンター長
四宮 敏章

現在わが国では、2人に1人ががんに罹患し、3人に1人ががんで亡くなる時代です。
がんの診断、治療はこの半世紀飛躍的に向上し、がん=死ではなくなってきてはいますが、依然進行がんの治癒は難しいのが現状です。
図1
さて皆さん、緩和ケアと聞いて
どんなイメージを抱くでしょうか。

終末期ケア? 
治療が終わった人が受けるケア? 
医療用麻薬を使うこと?
確かに、以前は抗がん治療が終わってから緩和ケア、というような理解がされてきました。


平成18年6月にがん対策基本法が制定され、それをもとにがん対策推進基本計画が策定されました。そのなかで「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が重点項目として定められました。がん患者とその家族ががんと診断された時から、身体的苦痛だけではなく、不安や抑うつなど精神心理的苦痛、就業や経済負担などの社会的苦痛に対しても、適切に緩和されることが目標にされています。 すなわち緩和ケアとは、図1に示ようにがんを疑って検査をうけるときから診断、治療、リハビリテーション、再発、治療、終末期とすべての病期で、身体的苦痛、精神心理的苦痛、社会的苦痛、さらには実存的、スピリチュアルな苦痛を含めた全人的苦痛(トータルペイン:図2)を緩和し、患者、家族(遺族も含めた)の生活の質を向上させるケアのことです。

図3

また、平成28年12月に改正された新しいがん対策基本法では、手術、化学療法、放射線治療に次いで緩和ケアはがん治療における第4番目の治療と位置づけられています。さらにがんだけでなく、心不全など多くの疾患にも拡げられようとしています。 緩和ケアとは、「重い病を抱える患者やその家族一人一人の身体やこころなどの様々な つらさをやわらげ、より豊かな人生を送ることができるようにするケア」(緩和医療学会2014年)なのです。

がん患者・家族の皆さん、何かお困りのこと、つらいと思っていること、お聞きしたいこと、なんでもかまいません。 お気軽に私たちにお声がけください。 あるいは主治医の先生に「緩和ケアを受けたい。」とおっしゃってください。 いつでも私たちは皆さんをお待ちしております。